福井憲彦『近代ヨーロッパの覇権』(興亡の世界史シリーズ)講談社、2017年。

ちょっと前に読んだので、感想をまとめておく。

大航海時代に始まり、第一次世界大戦あたりで終わる感じの内容。

正直なところ、全体的にオーソドックスな内容で、これと言って、「ここが面白かった!」とテンション高く紹介できる部分もなく、最後まで終わった印象だった。 テーマが、高校世界史で中心的に扱われがちな、政治、経済にフォーカスしていることもあるだろう。 (そして、筆者は世界史のそういう所がかなり好きな人間であった。)

しかし、侮ることなかれ。時間的に長く、地域的に幅のあるものを手堅く、一人で書き上げてしまうところが、著者の凄さとも言える。 細かい部分では、「これは知らなかった」という部分がそれなりにあった。 どこにあるかわからない読み手の問題関心に引っかかるような細かい知識が散りばめられている、そんな感じだろうか。

本書は

  • 高校の世界史は形式程度しかやってなくて、ヨーロッパ史はあまり押さえていないという人が、基礎をおさえたり
  • 高校世界史の内容はおさえているがまだ専門教育を受けていない大学1回生とかが読んで、知識を深めたり

するのにちょうどいい1冊という印象だった。

なんか、似た本があったなぁと思ったら『西洋の歴史』だった。似てないかもしれないけど。

西洋の歴史〈古代・中世編〉

西洋の歴史〈古代・中世編〉

西洋の歴史 近現代編

西洋の歴史 近現代編

「近代ヨーロッパの歴史を知りたい」って言われたら、お手軽なので、この本を勧めるかな、という意味でおすすめの1冊。